2009年8月12日 (水)
緑茶豆知識~日本茶の偉人たち 後編
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偉人その4 【宇治茶の基礎をつくった 明恵上人(みょうえしょうにん)】
宇治茶と言えば皆様もよくご存知の日本茶のブランドですが、この宇治茶の礎をつくったとされる人物が、今回最初にご紹介する明恵上人(1173-1232)です。明恵上人は華厳宗の高山寺を再興した僧で、思想家であり優れた歌人でもありました。前回(リンク)ご紹介した栄西禅師とは、度々問答を行なうなど深い交流があったと言われます。あるとき栄西禅師に喫茶の勧めを受け、お茶の種を贈られた明恵上人は、京都の栂尾(とがのお)にお茶の種を蒔いて栽培し、宇治茶の基礎をつくって全国に広めていきました。
栄西禅師が喫茶や茶栽培を推進した大きな理由に、茶の持つ薬効を認めたことがあります。明恵上人も彼の考えに同調し、茶を世間に広めるために、芦屋釜(あしやがま※)に「茶十徳」の文字を刻んで茶の効用を説きました。明恵上人の熱意や努力もあって、栂尾での茶栽培は非常に盛んになり、栂尾で摘まれたお茶は、本物のお茶を表す「本茶」と呼ばれ重用されるまでになりました。
※芦屋釜:鎌倉時代初期、明恵上人から茶の楊釜(お湯を沸かすための釜)製作の依頼を受け、福岡県の河口芦屋で鋳造された釜のこと。茶道における代表的な釜として有名です
明恵上人がお茶を広めるために説いた“茶十徳”
現在、お茶は日本の様々な産地でつくられていますが、各地の茶農家もきっと宇治茶の先人たちが生み出した技術を学び、高品質なお茶づくりに活かしたことでしょう。また、栄西禅師や明恵上人が説いたお茶の薬効も、日本茶の普及に大きな力を及ぼしたことは想像に難くありません。現在も、宇治でお茶に関わる人々の間には、高山寺の明恵上人に毎年の新茶をお供えする方が多いそうです。明恵上人の功績の大きさと、人々の感謝の気持ちが伝わってくる思いがします。
偉人その5 【わび茶を大成した茶聖 千利休】
お茶の偉人と聞いて、千利休(1522-1591)の名前を真っ先に思い出す方も多いのではないでしょうか。鎌倉時代以降、お茶の栽培やお茶を飲む習慣が広まると、お茶を楽しむ作法や様式も徐々に発展していきました。そして室町時代には様式にのっとって客人にお茶をふるまう「茶の湯」が生まれ、武士階級を中心に急速に広まっていきました。
そうした時代の中、1522年商家に生まれた千利休は16歳で茶人武野紹鴎(たけのじょうおう)に弟子入りし、茶の作法を学びました。その中で彼は、お茶の道具のみならず茶室の造りや作法の考証まで徹底的にこだわりぬき、ついにそれまでの「茶の湯」に見られない独創性を持った「わび茶」を大成しました。その後利休は茶頭(さどう:茶道の師匠のこと)として頭角を現し、織田信長や豊臣秀吉といった時の権力者に重用され、政治的にも大きな力を持つようになります。
現代のお茶にも、千利休のわび茶の精神が生きています
自らも大きな権力を持つこととなった千利休でしたが、一貫していたのは、豪華な茶器や茶室を否定し、簡素で慎ましやかな美を追求したことです。豪勢を極めた天下人 豊臣秀吉をもてなすときにおいても、決して考えを曲げず、自ら設計した二畳敷きの簡素な茶室でお茶を点(た)てて供しました。そして、茶室の中では誰もが平等であり、茶と向き合い人の心に平安がもたらすことが大切だと説いたのです。
千利休が大成させたわび茶は、特に武士階級の間に流行し、今日の「茶道」として完成に至りました。千利休以降、茶道は多くの人に受け継がれ、今や日本を代表する文化として国内のみならず世界からも注目されています。「一期一会(いちごいちえ)」という茶道の言葉は、「人との出会いを一生に一度のことと考え、今出来る限りの最高のもてなしをしましょう」という意味を持つそうです。私たちも千利休の残したメッセージを胸に、これからも、おもてなしの心を大切にしていきたいですね。
江戸時代の中ごろから、お茶は庶民の間にも嗜好品として広まっていきました。また、お茶を飲む作法とともに、お茶を製造する技術やお茶の品種開発などが行なわれ、日本茶は日本人の暮らしにとって無くてはならない存在になっていきました。現代においては、スポーツや勉強、お仕事の合間のひとときなど、日常の様々なシーンで緑茶が活躍しているのは皆様もご存知の通りです。
そして私は「茶畑日記」を書かせていただく中で、“現代の日本茶の偉人”と呼べる多くの人々に出会ってきました。それは、茶農家の方々をはじめとする、おいしいお茶づくりを追求し続ける現代の茶人たちです。こうして歴史を振り返ってみると、遠い時代から続く茶人たちの奮闘努力が、私たちにおいしいお茶を届けてくれていることに気づき、自然と感謝の気持ちが湧き上がってきます。これからも、日本茶の偉人の情熱を継ぐ方々に、心からのエールをお送りしていきたいと思います!
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コメント
「一期一会」は母の座右の銘であり、私の座右の銘でもあります。茶道から出た素晴らしい言葉ですね。
投稿: りょうこ | 2009年8月19日 (水) 17時53分